睡蓮(すいれん)

奈良西の京の薬師寺、そのすぐ西側に「勝間田の池」とよばれる美しい大池があり、堤に佇んで東を望むと、樹々の向こうに薬師寺の金堂、西塔、東塔が北から南に並び建つのが見え、背後には緑深い若草山、春日山もみえます。
はるか西を望めば、神さびた生駒の高嶺、その生駒の山々から吹く風が、広々とした一面の野面を渡り、大池の水面に白いさざ波を立てるさまは、幾百年の昔もかくばかりかと想わせる静寂が感じられます。
その睡蓮の花咲く勝間田の池の印象を、三本の尺八と箏、十七絃の編成で、三つの章にまとめた作品です。 
(1987年作曲)(尺八3、箏1、十七絃1)